初心者向け|Kubernetesとは?基本概念・AWS運用・インストール方法など徹底解説

エンジニア

Kubernetes(クバネティス)は、コンテナ化されたアプリケーションを管理・運用するためのオープンソースプラットフォームです。

本記事では、初心者向けにKubernetesの基本概念や導入方法を解説し、AWS環境での利用ついても紹介します。

この記事を書いた人

新卒でIT業界に入社しエンジニア、転職を経てIT業界向けのキャリアアドバイザーを経験。現在はITコンサルタントとして日々精進。幅広い職種でIT業界に携わった経験を活かして、IT業界に関する情報を楽しくわかりやすくをモットーに発信中。

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Kubernetesとは? 読み方と基本概念

Kubernetesの概要

Kubernetes(読み方: クバネティス または クーベネティス)は、Googleが開発し、現在はCloud Native Computing Foundation(CNCF)によって管理されているオープンソースのコンテナオーケストレーションプラットフォームです。

本セクションでは、Kubernetesの基本的な役割や特徴を解説します。


Kubernetesとは?

Kubernetes(略称: K8s)は、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ(配置)、スケーリング(拡張・縮小)、管理(監視・復旧)を自動化するためのツールです。

クラウド環境でのマイクロサービスアーキテクチャを効率的に運用する目的で広く採用されています。

Kubernetesの役割

Kubernetesの主な目的は、以下のようなコンテナ管理の課題を解決することです。

1️⃣ コンテナのスケジューリングと自動管理

    • アプリケーションの負荷に応じてコンテナの数を自動調整
    • サーバーリソースを最適に割り当て、障害時に自動で再起動

2️⃣ スケーラビリティと高可用性の確保

    • トラフィック増加時に自動スケーリング(Auto Scaling)
    • 一部のコンテナが停止しても影響を最小限に抑えるフェイルオーバー機能

3️⃣ マルチクラウド・ハイブリッド環境での柔軟な運用

    • AWS、GCP、Azureなどのクラウドサービス間で統一的に運用可能
    • オンプレミス(自社サーバー)とも組み合わせて利用可能

Kubernetesの特徴

Kubernetesには、従来のサーバー管理や仮想マシン管理にはない以下のような特徴があります。

自動化されたコンテナ管理

Kubernetesは、コンテナのデプロイや管理を自動化することで、手動での管理コストを削減します。例えば、新しいバージョンのアプリをデプロイする際、ローリングアップデートを行いながらシステムダウンを防ぐことが可能です。

負荷に応じたオートスケーリング

Kubernetesは、CPUやメモリの使用状況を監視し、必要に応じて自動的にPod(コンテナの集合単位)を増減させます。これにより、システムの負荷に応じた最適なリソース配分が可能になります。

マイクロサービスの運用が容易

マイクロサービスアーキテクチャでは、アプリケーションを複数の小さなサービスに分割し、それぞれを独立して管理・デプロイできます。KubernetesのServiceやIngressを活用すれば、複数のマイクロサービス間の通信を効率的に管理できます。

ハイブリッドクラウド対応

オンプレミス環境とクラウド環境を組み合わせたハイブリッドクラウド環境でも、統一的なKubernetesクラスターを構築できます。これにより、企業は既存のインフラを活かしつつ、クラウドのスケーラビリティを活用できます。


Kubernetesの読み方と名前の由来

Kubernetesの正式な発音は 「クバネティス」または「クーベネティス」 です。略称として 「K8s(ケーエイトエス)」 もよく使われます。この「K8s」は、「Kubernetes」の頭文字「K」と末尾の「s」の間に8文字あることに由来しています。

Kubernetesの語源

  • Kubernetesは、ギリシャ語で「操縦士(Helmsman)」を意味します。
  • 船の舵を取る操縦士のように、コンテナ化されたアプリケーションの運用を管理するツールであることを象徴しています。

Kubernetesの基本構成:Pod・Service・Ingressの役割

kub基本構成

Kubernetesを理解する上で欠かせないのが、その基本構成です。

Kubernetesは、コンテナの管理を自動化するプラットフォームですが、その中でも特に重要なのが Pod、Service、Ingress です。

本セクションでは、それぞれの役割と仕組みについて解説します。


Podとは?

Pod(ポッド) は、Kubernetesにおける最小のデプロイ単位であり、1つ以上のコンテナをまとめて管理するグループです。

Podの役割

  • コンテナのグループ化:複数のコンテナを1つのPodにまとめて管理できる
  • ネットワークの共有:Pod内のコンテナは同じネットワーク(IPアドレス、ポート)を共有
  • ストレージの共有:コンテナ間でボリューム(永続データ)を共有可能

Podの構造

Podの内部には、以下の要素が含まれます。

✅ 1つ以上のコンテナ(通常はDockerコンテナ)
✅ 共有ネットワーク(同じIPアドレスとポート)
✅ ストレージボリューム(必要に応じてデータを共有)

例えば、あるWebアプリのPodには、次のような構成が考えられます。

Pod
├── Webサーバーコンテナ(Nginx)
├── バックエンドAPIコンテナ(Node.js)
└── データキャッシュ(Redis)

このように、関連するコンテナを1つのPodにまとめることで、効率的な管理が可能になります。


Serviceとは?

Service(サービス) は、Podに対するネットワークのアクセスポイントを提供し、負荷分散(ロードバランシング)永続的なIPアドレスを割り当てる役割を持ちます。

なぜServiceが必要なのか?

Kubernetesでは、Podは動的に作成・削除されるため、PodごとにIPアドレスが変わる可能性があります。

すると、直接PodにアクセスするとIPアドレスが変わるたびに通信が途切れるという問題が発生します。

これを解決するために、固定のエンドポイント(IPアドレス)を提供するのがService です。

Serviceの種類

Kubernetesには、用途に応じて複数のServiceタイプがあります。

Serviceタイプ 説明
ClusterIP(デフォルト) クラスタ内部でのみ通信可能な仮想IPを提供
NodePort クラスタ外部からアクセスできるポートを開放
LoadBalancer クラウドプロバイダーのロードバランサーを使用
ExternalName 外部のDNS名を使用してリダイレクト

例えば、WebアプリのバックエンドAPIを管理する場合、Serviceを利用することで、PodのIPアドレスが変わっても安定した通信が可能になります。


Ingressとは?

Ingress(イングレス) は、Kubernetesクラスターの外部から内部のServiceへHTTP/HTTPSの通信をルーティングするためのコンポーネントです。

通常、ロードバランサーとして動作します。

なぜIngressが必要なのか?

  • 通常、外部からKubernetes内のアプリケーションにアクセスするにはNodePortやLoadBalancerを使う必要がありますが、これらは設定が複雑で拡張性が低いというデメリットがあります。
  • Ingressを利用すると、ドメインベースのルーティングやSSLの終端処理が可能になります。

Ingressの主な機能

  • ドメインベースのルーティング(例: app.example.com/apibackend-service
  • パスベースのルーティング(例: /apibackend-service, /webfrontend-service
  • HTTPS(SSL/TLS)の終端処理

例えば、以下のような設定をすることで、異なるパスごとに異なるServiceへルーティングできます。

apiVersion: networking.k8s.io/v1
kind: Ingress
metadata:
  name: my-ingress
spec:
  rules:
  - host: myapp.example.com
    http:
      paths:
      - path: /api
        backend:
          service:
            name: backend-service
            port:
              number: 80
      - path: /web
        backend:
          service:
            name: frontend-service
            port:
              number: 80

この設定により、myapp.example.com/api へのリクエストは backend-service へ、myapp.example.com/web へのリクエストは frontend-service へ転送されます。


Kubernetesのインストール方法(Install)

kebインストール

Kubernetesを使用するには、適切な環境にインストールする必要があります。

本セクションでは、ローカル環境やクラウド環境でのインストール方法について解説します。


Kubernetesのインストール方法の選択肢

Kubernetesのインストール方法は、大きく分けてローカル環境でのセットアップクラウド環境でのセットアップの2種類があります。

ローカル環境でのセットアップ

開発やテスト用途でKubernetesをローカルPCにインストールする場合、以下の方法があります。

✅ Minikube(シングルノードの簡易Kubernetes環境)

    • 仮想マシン上にKubernetesクラスターを構築
    • 軽量でローカル開発向け
    • kubectl コマンドを使用可能

✅ Kind (Kubernetes IN Docker)

    • Dockerコンテナ上でKubernetesクラスターを構築
    • 軽量でCI/CDのテスト環境向け
    • Minikubeよりもシンプルな構成

✅ MicroK8s(Canonical社提供の軽量Kubernetes)

    • シンプルな単一バイナリのインストール方式
    • UbuntuなどのLinux環境で簡単にセットアップ可能

クラウド環境でのセットアップ

商用利用や本番環境では、クラウドプロバイダーが提供するマネージドKubernetesを利用するのが一般的です。

Amazon EKS(AWS)

    • AWSが提供するフルマネージドKubernetes
    • EC2やFargateと連携可能
    • eksctl コマンドで簡単セットアップ

Google Kubernetes Engine(GKE)

    • Google Cloudが提供するKubernetes
    • フルマネージドで、スケーリングやセキュリティ管理が容易

Azure Kubernetes Service(AKS)

    • Microsoft Azure上で動作するマネージドKubernetes
    • Azure DevOpsとの統合が可能

Minikubeのインストール方法(ローカル環境)

開発環境でKubernetesを試す場合、Minikubeが最も手軽な選択肢です。

ここでは、Minikubeをインストールして基本的なクラスターを起動する方法を解説します。

必要な環境

Minikubeを使用するには、以下のソフトウェアが必要です。

  • VirtualBox または Docker(仮想化環境)
  • kubectl(Kubernetes CLIツール)
  • Minikube 本体

インストール手順

1️⃣ kubectlのインストール

まず、Kubernetesのコマンドラインツール kubectl をインストールします。

# macOS (Homebrew)
brew install kubectl

# Ubuntu
sudo apt update && sudo apt install -y kubectl

# Windows (Chocolatey)
choco install kubernetes-cli

2️⃣ Minikubeのインストール

次に、Minikubeをインストールします。

# macOS (Homebrew)
brew install minikube

# Ubuntu
curl -LO https://storage.googleapis.com/minikube/releases/latest/minikube-linux-amd64
sudo install minikube-linux-amd64 /usr/local/bin/minikube

# Windows (Chocolatey)
choco install minikube

3️⃣ Minikubeクラスターの起動

インストールが完了したら、Minikubeを起動します。

minikube start

このコマンドを実行すると、Minikubeが仮想環境内にシングルノードのKubernetesクラスターを作成します。

4️⃣ クラスターの確認

Kubernetesクラスターが正常に動作しているか確認します。

kubectl get nodes

出力例:

NAME       STATUS   ROLES    AGE   VERSION
minikube   Ready    master   5m    v1.27.0

このように STATUSReady になっていれば、クラスターが正常に動作しています。

5️⃣ クラスターの停止・削除

不要になった場合は、クラスターを停止または削除できます。

# クラスターの停止
minikube stop

# クラスターの削除
minikube delete

AWS上でKubernetesをインストールする方法

AWSでKubernetesを利用するには、Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service)を使うのが一般的です。

EKSクラスターの作成

1️⃣ AWS CLIをインストール

curl "https://awscli.amazonaws.com/AWSCLIV2.pkg" -o "AWSCLIV2.pkg"
sudo installer -pkg AWSCLIV2.pkg -target /

2️⃣ eksctlをインストール

curl -sSL "https://github.com/weaveworks/eksctl/releases/latest/download/eksctl_Linux_amd64.tar.gz" | tar -xz
sudo mv eksctl /usr/local/bin

3️⃣ EKSクラスターを作成

eksctl create cluster --name my-cluster --region ap-northeast-1

このコマンドを実行すると、AWS上にKubernetesクラスターが作成されます。

4️⃣ クラスターの確認

kubectl get nodes

よくある質問(FAQ)

Kubernetesに関するよくある質問とその回答をまとめました。

初心者がつまずきやすいポイントや、実務でよく出てくる疑問を解決します。


Kubernetesの基本に関するFAQ

Kubernetes(クバネティス)とは何ですか?

📌 A. Kubernetesは、コンテナ化されたアプリケーションを自動的にデプロイ、スケール、管理するためのオープンソースのコンテナオーケストレーションツールです。

Googleが開発し、現在はCloud Native Computing Foundation(CNCF)によって管理されています。

Kubernetesの読み方は?

📌 A. 「クバネティス」または「クーベネティス」と発音されます。略称の「K8s(ケイエイツ)」もよく使われます。

DockerとKubernetesの違いは何ですか?

📌 A. Dockerはコンテナを作成・実行する技術であり、Kubernetesは複数のコンテナを管理・オーケストレーションするツールです。

簡単に言うと、Dockerはコンテナを作る、Kubernetesはコンテナを管理するという関係になります。

Kubernetesを学ぶのにプログラミングスキルは必要ですか?

📌 A. 基本的な操作を学ぶだけならプログラミングスキルは不要です。

ただし、Kubernetesを本格的に活用する場合は、YAMLファイルの書き方や、アプリ開発のためにGo言語やPythonの基礎知識があると役立ちます。


Kubernetesの技術に関するFAQ

Kubernetesのインストール方法は?

📌 A. Kubernetesは以下の方法でインストールできます。

  • ローカル環境で試すなら:MinikubeまたはKindを使用
  • クラウド環境で使うなら:AWSのEKS、Google CloudのGKE、AzureのAKSを利用
  • オンプレミス環境なら:kubeadmを使って手動で構築

kubectl の基本的な使い方は?

📌 A. kubectl はKubernetesを操作するコマンドラインツールです。よく使うコマンドは以下の通りです。

kubectl get pods        # Pod一覧を取得
kubectl describe pod <POD名>  # Podの詳細情報を表示
kubectl delete pod <POD名>  # Podを削除
kubectl apply -f <ファイル.yaml>  # 設定を適用
kubectl logs <POD名>  # ログを確認

Kubernetesでコンテナが起動しない場合、どうすればよいですか?

📌 A. 以下の手順で原因を調査できます。

1️⃣ Podの状態を確認する

kubectl get pods

2️⃣ Podの詳細を表示する

kubectl describe pod <POD名>

3️⃣ ログを確認する

kubectl logs <POD名>

これらのコマンドを実行すると、エラーメッセージや失敗の原因が分かります。

KubernetesのServiceとIngressの違いは?

📌 A. Service はKubernetes内部でPodを接続するための仕組み、Ingress は外部からクラスター内のServiceへアクセスを制御する仕組みです。

項目 Service Ingress
目的 内部通信の管理 外部アクセスの管理
使い方 Pod同士の通信を管理 ドメインベースのルーティング
kubectl expose を使って作成 Ingress リソースを作成

Ingressを使うと、1つの外部IPで複数のアプリにアクセスできます。


まとめ

本記事では、Kubernetesの基本概念、インストール方法、AWSでの運用、解説しました。

Kubernetesを活用することで、クラウド環境でのアプリ運用が大幅に効率化されます。

まずはローカル環境で触れてみることから始めてみましょう!

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