Kubernetes(クバネティス)は、コンテナ化されたアプリケーションを管理・運用するためのオープンソースプラットフォームです。
本記事では、初心者向けにKubernetesの勉強方法から資格の詳細について紹介します。
Kubernetesの基本概念については、以下の記事で紹介しています。
Kubernetesの資格(認定試験)
Kubernetesのスキルを証明する手段として、公式の認定資格があります。
特に、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)が提供するCKA(Certified Kubernetes Administrator)、CKAD(Certified Kubernetes Application Developer)が人気です。
本セクションでは、各資格の概要や難易度、勉強方法について解説します。
Kubernetesの主要な資格一覧
Kubernetesの資格には、主に以下の3種類があります。
資格名 | 対象者 | 内容 | 難易度 |
---|---|---|---|
CKA(Certified Kubernetes Administrator) | Kubernetesの管理者 | クラスターのデプロイ、管理、トラブルシューティング | ★★★★☆ |
CKAD(Certified Kubernetes Application Developer) | Kubernetes上でアプリを開発するエンジニア | Pod、Service、ConfigMap、Secrets、Helmなどのアプリ開発 | ★★★☆☆ |
CKS(Certified Kubernetes Security Specialist) | セキュリティ専門家 | クラスターのセキュリティ設定や攻撃対策 | ★★★★★ |
それぞれの試験は、実際のKubernetes環境でCLI(kubectl)を使って問題を解く実技試験となっています。
CKA(Certified Kubernetes Administrator)とは?
CKA は、Kubernetesクラスターの管理に関する知識とスキルを証明する資格です。
CKAの対象者
- Kubernetesのクラスター運用・管理を担当するエンジニア
- クラウドインフラやDevOpsエンジニア
- Kubernetesの基本概念をしっかり学びたい人
CKAの試験内容
試験は、以下の5つのカテゴリで出題されます。
カテゴリ | 配点割合 |
---|---|
クラスターアーキテクチャとインストール | 25% |
ロギング・モニタリング・トラブルシューティング | 15% |
ネットワーク・ストレージ管理 | 20% |
ワークロードとスケジューリング | 20% |
セキュリティ・アクセス管理 | 20% |
試験時間は 2時間 で、実際のKubernetes環境で kubectl
を使いながら問題を解く形式です。
CKAD(Certified Kubernetes Application Developer)とは?
CKAD は、Kubernetes上でアプリケーションを開発・デプロイするスキルを証明する資格です。
CKADの対象者
- Kubernetes上でアプリを開発・運用するエンジニア
- マイクロサービスアーキテクチャを活用した開発者
- Kubernetesのリソース(Pod、ConfigMap、Serviceなど)を理解したい人
CKADの試験内容
試験は以下のようなカテゴリで出題されます。
カテゴリ | 配点割合 |
---|---|
コアコンセプト(Pod, Deployment, Serviceなど) | 13% |
コンフィギュレーションとセキュリティ管理 | 23% |
マルチコンテナPod | 10% |
Observability(ログ・モニタリング) | 18% |
アプリケーションのライフサイクル管理 | 16% |
ネットワークポリシー | 10% |
永続ストレージ | 10% |
試験時間は 2時間 で、実技形式となっています。
CKS(Certified Kubernetes Security Specialist)とは?
CKS は、Kubernetesのセキュリティに特化した資格で、セキュリティ対策やリスク管理を学びます。
CKSの対象者
- Kubernetesのセキュリティを強化したいエンジニア
- クラウドセキュリティやDevSecOpsに関心がある人
- CKAに合格済みで、さらに専門知識を深めたい人
CKSの試験内容
以下のようなセキュリティ分野の問題が出題されます。
カテゴリ | 配点割合 |
---|---|
クラスターの設定とセキュリティ | 20% |
システムのセキュリティ | 15% |
ネットワークセキュリティ | 20% |
アイデンティティとアクセス管理 | 15% |
監視とロギング | 15% |
供給チェーンのセキュリティ | 15% |
CKSの試験時間は 2時間 で、より高度なセキュリティ対策を求められる内容となっています。
Kubernetes資格の取得方法(試験の申し込み手順)
Kubernetesの資格試験は、CNCF(Cloud Native Computing Foundation) が提供しており、オンラインで受験できます。
受験手順
1️⃣ CNCF公式サイトで受験登録
-
- 公式サイト で試験を申し込む
- 価格(2025年時点):
- CKA:395ドル
- CKAD:395ドル
- CKS:395ドル
- 受験バウチャー(クーポン)が発行される
2️⃣ 受験環境の準備
-
- Webカメラ付きのPCが必要(監視付きオンライン試験のため)
- LinuxまたはWindowsで受験可能
- 事前に試験用の環境をセットアップすることが推奨
3️⃣ オンライン試験を受ける
-
- 受験時間は2時間(オープンブック形式)
kubectl
を使って実際にKubernetes環境を操作しながら解答
4️⃣ 合格後、デジタルバッジを取得
-
- 合格すると、CNCFから公式のデジタルバッジが発行される
- LinkedInや履歴書に記載可能
Kubernetes資格の勉強方法
資格試験の合格に向けて、以下の学習方法が有効です。
推奨学習リソース
- 公式ドキュメント(Kubernetes公式)
- オンライン学習プラットフォーム
- Udemy(実践的なKubernetesコース多数)
- Linux Foundationの公式トレーニング
- YouTubeのKubernetes学習動画
実践練習
Kubernetes初心者向けの学習方法
Kubernetesは便利なツールですが、初心者にとっては学習のハードルが高いと感じることもあります。
本セクションでは、初心者が効率的にKubernetesを学ぶためのステップとおすすめの学習リソースを紹介します。
Kubernetes初心者が学ぶべき基本概念
まずは、Kubernetesの基本的な概念を理解することが重要です。以下の用語を押さえておきましょう。
用語 | 説明 |
---|---|
Pod | Kubernetesの最小単位で、コンテナを1つまたは複数含む |
Node | クラスター内でPodを実行するサーバー |
Cluster | 複数のNodeから構成されるKubernetes環境 |
Deployment | Podの管理やスケーリングを行うリソース |
Service | Pod間や外部と通信するためのネットワーク定義 |
Ingress | 外部からクラスター内のServiceへアクセスを制御する仕組み |
ConfigMap / Secret | アプリケーション設定情報を管理するリソース |
これらの基本用語を理解することで、Kubernetesの全体像がつかめます。
Kubernetes初心者向けの学習ステップ
Kubernetesを効率的に学ぶためには、以下のステップを順番に進めるのがおすすめです。
ステップ1:Dockerの基礎を学ぶ
KubernetesはDockerなどのコンテナ技術の上に成り立っています。まずはDockerの基礎を学習しましょう。
- Dockerのインストール
- Docker公式サイト から環境を構築
- 基本的なDockerコマンド
docker run -d nginx # nginxコンテナを起動 docker ps # 実行中のコンテナを確認 docker stop <CONTAINER_ID> # コンテナの停止
ステップ2:ローカル環境でKubernetesを動かす
初心者がKubernetesを学ぶには、ローカル環境で手軽に試せるMinikubeやKindを使うのが良いでしょう。
- Minikubeを使ってKubernetesを起動
minikube start kubectl get nodes
- シンプルなPodをデプロイ
kubectl run my-nginx --image=nginx kubectl get pods
ステップ3:Kubernetesの基本操作を学ぶ
基本的なリソース(Pod、Service、Deploymentなど)の使い方を学びます。
- Deploymentの作成
kubectl create deployment my-app --image=nginx
- Serviceの作成
kubectl expose deployment my-app --type=NodePort --port=80
ステップ4:実践的なプロジェクトで学ぶ
実際のアプリをデプロイしながら学ぶことで、Kubernetesの理解が深まります。
- 公式チュートリアルを試す(Kubernetes公式チュートリアル)
- GitHubのKubernetesサンプルプロジェクトを活用
- CI/CDパイプライン(GitHub ActionsやJenkins)と組み合わせてみる
Kubernetes初心者向けのおすすめ学習リソース
初心者がKubernetesを学ぶのに役立つサイトや書籍を紹介します。
公式ドキュメント & チュートリアル
YouTube動画 & オンラインコース
- Udemy:「Kubernetes完全入門」(日本語で解説されている良質な講座あり)
- YouTube:「Kubernetesの基本を30分で解説」(初心者向けの無料講義多数)
- Linux Foundationのトレーニング(CNCF公式の学習コース)
Kubernetes初心者向けの書籍
- 『Kubernetes完全ガイド』(入門から実践まで学べる)
- 『Kubernetes初心者向けハンドブック』(基礎をしっかり学べる)
- 『実践Kubernetes』(より高度な設定や運用について学べる)
Kubernetes初心者がつまずきやすいポイントと解決策
初心者がKubernetesを学ぶ際につまずきやすいポイントをまとめ、それぞれの解決策を紹介します。
つまずきポイント | 解決策 |
---|---|
コマンドが多くて覚えられない | まずは kubectl run , get , describe , delete など基本コマンドから練習する |
kubectl のエラーが発生する |
kubectl get pods -A で状態を確認し、kubectl describe で詳細を見る |
クラスターの概念が難しい | MinikubeやKindを使い、実際に触りながら理解する |
Podが起動しない | kubectl logs <pod名> でログを確認し、エラーの原因を調査 |
ServiceとIngressの違いが分からない | ServiceはPod間通信、Ingressは外部からのアクセス制御と理解する |
Kubernetes初心者向けの学習のコツ
とにかく手を動かして試す
- 理論だけでは理解が難しいので、実際にKubernetes環境を構築しながら学ぶ
- MinikubeやKindを使って、試しにコンテナを動かしてみる
シンプルなプロジェクトから始める
- いきなり難しいことをしようとせず、まずは簡単なNginxのデプロイなどから始める
- サンプルプロジェクトを真似して作成するのも効果的
調べる習慣をつける
- Kubernetesのエラーが出たら、まずは公式ドキュメントやGitHubのIssueで調べる
kubectl explain
コマンドを活用してリソースの詳細を確認する
よくある質問(FAQ)
Kubernetesに関するよくある質問とその回答をまとめました。
Kubernetes資格に関するFAQ
Kubernetesの資格(CKA, CKAD, CKS)のどれを取ればいいですか?
📌 A.目的に応じて選びましょう。
資格 | 対象者 | 目的 |
---|---|---|
CKA(Certified Kubernetes Administrator) | クラスター管理者向け | クラスターの構築・運用 |
CKAD(Certified Kubernetes Application Developer) | アプリ開発者向け | Kubernetes上でアプリ開発 |
CKS(Certified Kubernetes Security Specialist) | セキュリティ専門家向け | クラスタのセキュリティ対策 |
Kubernetesの資格試験はどこで受けられますか?
📌 A. CNCF(Cloud Native Computing Foundation)の公式サイトから申し込み、オンライン試験として受験できます。
受験申し込み:公式サイト
Kubernetes資格の試験勉強はどのようにすればいいですか?
📌 A. 以下の方法がおすすめです。
- 公式ドキュメントを読む(Kubernetes公式サイト)
- 模擬試験を解く(UdemyやKiller.shの模擬試験)
- 実際にKubernetes環境を構築し、試験範囲の操作を練習する
まとめ
本記事では、Kubernetesの資格、勉強方法について解説しました。
Kubernetesを活用することで、クラウド環境でのアプリ運用が大幅に効率化されます。
まずはローカル環境で触れてみることから始めてみましょう!
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